プール遊泳終了後の塩素管理
プールを安全に清潔に保っていくためには、正しい管理が必要です。最近では、厚生労働省健康局長通知(平成19年5月28日、健発0528003号)の「遊泳用プールの衛生基準について」の第4維持管理基準でも「プール水は常に消毒を行うこと」が明文化されています。
また、文部科学省通達(平成21年3月31日)の「学校環境衛生基準」の第4 水泳プールに係る学校環境衛生基準でも同様にプール消毒の重要性が説かれています。
このような中で、公衆衛生に対する認識も高まり、プール管理の技術も向上しておりますが、まだまだプール病の発生や藻や白濁(着色)などのトラブルが起こっています。
1、プール遊泳終了後の塩素管理の効果
一般際菌等の増殖が抑えられ衛生的な水質が維持できる。
目の刺激の原因物質のひとつである結合塩素(クロラミン)が分解される。
藻や水垢の発生が抑制される。
水の汚れが取れ、翌朝の残留塩素の立ち上がりが早くなる。
プールを安全・清潔に保っていくためには、遊泳中の管理を充分に行うとともに、遊泳終了後の塩素管理が重要です。遊泳終了後に残留塩素が無くなった場合は、翌朝までに一般最近が基準値以上に増殖する危険性があることが明らかになっています。遊泳終了後の残留塩素を適切に実施すれば、翌朝までにううぶんに殺菌消毒されることが確認されています。プール管理は大変手間のかかる作業ですが、遊泳者の安全を守るために残留塩素の24時間管理をぜひお勧めいたします。
2、プール遊泳終了後の標準使用量(約16時間管理)
次亜塩素酸カルシウム:プール水1m3に対し、2〜4gを使用してください。
塩素化イソシアヌル酸:プール水1m3に対し、1〜2gを使用してください。
【備考】
①薬剤は遊泳終了後に使用してください。
②翌朝の遊離残留塩素濃度が0.2mg/L前後になるように、使用量を増減してください。
3、標準データ
(1)遊泳終了後の塩素剤の使用量と翌朝の残留塩素量の関係
翌朝残留塩素 | 次亜塩素酸カルシウム (有効塩素70%) |
トリクロルイソシアヌル酸 (有効塩素90%) |
ジクロルイソシアヌル酸 ナトリウム (有効塩素60%) |
0.1mg/L | 1.4g/m3 | 0.7g/m3 | 0.9g/m3 |
0.2mg/L | 2.3g/m3 | 1.2g/m3 | 1.5g/m3 |
0.3mg/L | 3.0g/m3 | 1.5g/m3 | 2.0g/m3 |
0.4mg/L | 3.6g/m3 | 1.8g/m3 | 2.3g/m3 |
(2)翌朝の残留塩素と一般細菌数の関係
翌朝の残留塩素 | 一般細菌数 |
0mg/L | 800コロニー/mL |
0.07mg/L | 100コロニー/mL |
0.17mg/L | 13コロニー/mL |
0.3mg/L | 2コロニー/mL |
0.5mg/L | <1コロニー/mL |