IM-80P
- 汚泥の色による影響をいけにくくする「ナローギャップセル」を採用
独自開発の「ナローギャップセル」(セル長を極限まで短くした構造)により、汚泥の色の影響を受けにくく、高精度名測定が出来ます。 - 電極の経時的な劣化の補正は水道水のみでOK,校正板は不要
使用後の洗浄も水道水で簡単に出来ます。 - 「マニュアル校正」と「後校正」機能を搭載し、手分析値と抜群の相関を取得可能
「マニュアル校正」機能とは:測定値が手分析値と合わない場合や汚泥の色・成分に変化が出た場合などに、手分析値に合わせて補正が出来ます。
「後校正」機能とは:採取した直後の汚泥吸光度を記憶できるため、委託分析結果が出てからでも「最適地」に補正が出来ます。 - IP67の「防塵・防水性」をクリア。安心の防水構造
- 本体の「ラバープロテクター」により、本体が落下しても衝撃を吸収し、破損しにくい構造
従来比(IM-100、IM-50モデル)2倍の強度で、5mの高さからの落下(平らなコンクリート上)でも壊れません。
仕様
品名 | MLSS計 |
型式 | IM-80P |
測定方式 | MLSS測定:赤外線パルス透過光方式 水深測定:なし |
表示方法 | デジタル液晶表示 |
表示項目 | MLSS地、バッテリー残量、エラーメッセージ、相関式モード |
測定範囲 | MLSS測定:0~9.990mg/L(表示分解能 10mg/L) 10.000~20.000mg/L(表示分解能 100mg/L)オートレンジ切替 |
計器精度 (再現性) |
MLSS測定:指示値の±2%以内(一定条件)(5.000mg/L未満は±150mg/L以内) |
校正方法 | MLSS測定 ゼロ校正:校正容器での水道水校正 2点校正:ゼロ校正とMLSS濃度既知検水での校正 3点校正:ゼロ校正、MLSS濃度既知検水とその1/2希釈検水による校正 |
その他機能 | ふらつき緩和機能、後校正機能、オートパワーオフ機能 (最終キー操作後30分以上キー操作がない場合自動的に電源OFF) |
相関式モード | 5種の相関式を内蔵 |
界面判断 | なし |
本体構造 | IP67準拠の防塵・防水構造,ラバープロテクター付(衝撃吸収機能) |
使用温度範囲 | 0~40℃ |
寸法 | 本体:約φ90×53(D)mm(ラバープロテクター含む) プローブ:約φ43×170mm |
重量 | 本体部:約290g(電池、ラバープロテクター含む) プローブ:約740g(ケーブル含む) |
ケーブル長 | 6m(標準) ※10mタイプもあります(別料金) |
電源 | 単4形アルカリ乾電池×3本(DC4.5V) |
電池寿命 | アルカリ電池:連続約160時間 |
MLSSとは
MLSSは、活性汚泥浮遊物質(Mixed Liquor Suspended Solids)の略称で、反応タンク(ばっ気槽)内の混合液中の有機物などの濃度をいい、微生物濃度の指標としても用いられます。反応タンクの管理指標として用いられます。標準活性汚泥法1,500~2,000mg/L、長時間ばっ気法3,000~6,000mg/L、分注法1,000~1,500mg/L、酸化溝法3,000~4,000mg/L、酸素活性汚泥法3,000~4,000mg/L程度となります。
活性汚泥処理法とは
排水処理方法のうち、生物処理のうち好気性微生物処理の一種で、細菌と原生生物を中心とした生物群から構成し、溶存酸素を水中から取り込み、餌として取り入れた有機物を酸素分解する方法です。
活性汚泥法は、調整槽、ばっ気槽、沈殿槽およびばっ気槽への返送汚泥工程からなり、特に、浮遊物質の除去を目的に、調整槽の位置に最初沈殿槽をおく場合は、ばっ気槽の後の沈殿槽を最終沈殿槽と呼ぶこともあります。
排水はまず調整槽に集め、排水組成をできるだけ均一にした後、栄養分を加えpHを調整します。最初沈殿槽の場合は懸濁物を除去した後、その一定量を連続的にばっ気槽に供給します。ばっ気槽では一定時間空気をばっ気しながら排水を滞留させることにより、予め馴養された好気性微生物により有機性物質は酸化分解させます。
次に、活性汚泥と排水の混合液は沈殿槽へ送られ、2~3時間滞留させることにより、活性汚泥を上澄液と分離し自然沈降させます。(最終)沈降槽の上澄液は処理水として放流し、沈降した汚泥は集泥機で槽底部中央にかき寄せ、一部の汚泥はばっ気槽へ返送し循環使用し、ばっ気槽内の活性汚泥濃度を保持します。余剰汚泥は系外に引抜き、脱水ろ過機により脱水したあと、乾燥、焼却して処分します。
SSとは
SSとは、浮遊物質(Suspended Solids)の略称で、懸濁物質とも呼ばれ、JIS K0102工業排水試験方法では「懸濁物質」として測地方法が定められています。SSは、水中に浮遊する粒径2mm以下の不溶解性物質の総称で、沈降性の少ない粘度鉱物による微粒子、動植物プランクトンやその死骸・分解物・付着する微生物、下水、工場排水などに由来する有機物や金属の沈殿物が含まれます。SSは水の濁り具合を示す指標であるため、SSが高いと水質汚染が進んでいるといえます。
SSの測定方法は、試料をろ過し、ろ過材上に残留した物質を乾燥しその質量を測ります。残留物の質量を試料水1L中の重さに換算して、MLSSと同様、mg/Lで表します。
MLSSとSSの違い
MLSSは活性汚泥法によるばっ気槽内の浮遊物質の量を管理する指標であるのに対し、SSは最終沈殿槽の上澄液などの処理が進んだものや放流水の浮遊物質量に対して使われます。ですので、SSが200mg/L以下の値を基準とすることが多いですが、MLSSは1.500~4.000mg/L、もしくはそれ以上の値で管理することになります。
また、SSは水質汚濁防止法により法的基準が定められていますが、MLSSには法的基準はなく、排水処理、下水処理の管理のための指標として使われています。
MLSS計を使う目的
従来、MLSS濃度の測定はSSの測定方法と同じように、ばっ気槽などから汚泥を採取し、固形分を水で洗い乾燥した後の重量を計るという手分析による重量法で行っていますが、重量法は1回の測定に数時間かかり、労力がかかる方法のため、1日に何度も測定できない場合が多いです。しかし、ばっ気槽などの汚泥の濃度は1日の間でも大きく変化するため、もっと短時間でMLSS濃度を測定する方法として、透過光方式などの原理を採用した「MLSS計」も多く採用されています。
下水処理施設や排水処理施設での管理においては、活性汚泥が多すぎても少なすぎても最適な処理とはいえず、運転に支障が生じます。ばっ気槽、返送汚泥、濃縮汚泥、嫌気性汚泥といった複数箇所においてMLSS濃度を常時監視することが必要とされますが、毎回重量法で測定していたのでは手間がかかる、という背景から、複数の測定箇所でも、常時測定出来るMLSS計が使用されています。
MLSS計の校正方法
透過光方式では、浮遊物質により光を遮った量を測ります。そのため、MLSS計は光を検知するセンサー部の汚れやLEDの経時的な劣化による光量低下が誤差の原因となってきます。
飯島電子工業のMLSS計は透過光方式を採用しており、水道水を使ったゼロ校正のみでそうした誤差を補正することができます。赤外線パルス透過光方式の測定原理であるランベルト・ベルの法則からこの理屈は証明できます。日常的なMLSS測定においては、このゼロ校正を行うだけで、測定が可能です。
一方、透過光方式では、浮遊物質により光を遮った量を測っていることから、光の遮る量が同じでも粒子の軽い/重いでMLSS値は変化してしまいます。このため、より正確なMLSS値の把握のためには、既に手分析(重量法)で測定してあるMLSS値をMLSS計に合わせ込むスパン校正を行います。このスパン校正は、測定箇所ごと、また、汚泥水の色や成分が変化するごとに行う必要があります。
また、特に白っぽい汚泥水の場合など、吸光度(入射光と透過光との比)とMLSS値に直線性が見られない場合があります。飯島電子工業のMLSS計は、手分析値の分かっている汚泥水でスパン校正したあと、その汚泥水を水道水で2倍希釈して中間値を作り、中間校正する方法(3点校正)もあります。
よくあるご質問