ホース取扱い注意事項
1、使用上の注意事項(流体:水、液体)- ホースの許容圧力は、直管状態または許容曲げ半径より大きい曲げ状態で、設計上許容できる最大圧力を表します。従って、これ以上の圧力で使用することはできません。また連続して使用できる最高使用圧力(常用圧力)ではありません。
- 許容圧力は最高使用圧力ではありません。次の表をご参照の上運転圧力(常用圧力)の設計をしてください。
運転圧力の算出方法 | 適用ホース | 安全係数 |
(運転圧力)×(安全係数) ≦(許容圧力) |
TACフルオロシリーズ、TACエコシリーズ、 SDホースシリーズ(一般用、食品用、耐油用、AS、 アース入り)、TACへランシリーズ |
2.0 |
ラインパワーシリーズ | 1.5 |
- ホース性能(許容圧力、運転圧力、曲がり等)は、流体温度、周囲温度により大きく影響を受けます。ホースにより、流体温度が50℃の場合の許容圧力、及び運転圧力は、25℃時の1/2以下になりますのでご注意下さい。(周囲温度:30℃時)
- 使用流体により、ホースの材質に硬化、膨潤等の変化が予想されるもの(薬品、溶剤、酸、アルカリ)については、例えば(運転圧力)×3.0≦(許容圧力)となるように安全係数を大きくみてください。
特に毒性の強い薬品、危険性の高い薬品(高濃度酸、高濃度アルカリ、爆発・引火性ガス等)の場合は、絶対に使用しないでください。ホース破損により人体に重大な影響を及ぼす危険があります。 - ホースを土中に埋設しないでください。外圧、内圧クリープにより、補強芯が割れ、漏水する場合があります。ただし、条件によってはラインパワーWAが使用できる場合もあります。その際はご相談下さい。
- ホースをサヤ管に入れてのご使用は避けて下さい。加圧時の伸びにより、ホースが蛇行し、補強芯などの割れや、漏水が発生する場合があります。
- 水中ポンプの立ち上がり部に使用される場合、ポンプ停止時にウォーターハンマーがかかりますので、このような時にも4.に示したように、安全係数を大きくみてポンプ圧を設定してください。ウォーターハンバーによりホースが破損して事故が発生する恐れがあります。
- バルブの開閉は、3秒以上かけてゆっくり操作し、衝撃圧が加わらないようにしてください。特にホース先端でバルブ・弁を急に閉じると、衝撃圧が発生し、ホースが破壊する恐れがあります。
衝撃圧が発生する場合の目安は、およそ流速(m/sec)の単位を圧力の単位(MPa)に置き換えた圧力が使用圧に加算されると考えてください。(瞬間的に弁を閉じた場合) - ホースは長時間屋外で使用されると、紫外線劣化により変色(黒化)・硬化や、オゾンによる亀裂の発生などが起こる場合があります。変色、亀裂の徴候が認められた時は、できるだけ早く新品と交換してください。
- 食品用途には食品用と分類されているホースをお使いください。それ以外のホースをお使いになると、法の定めるところにより処罰されることがあります。
- 一般用ホースは、医薬品用途でのご使用は絶対におやめください。法の定めるところにより処罰されることがあります。
- 圧縮空気用の配管には使用しないでください。使用条件によってはバーストして、事故が発生する恐れがあります。
- 純度の高い薬品の搬送用に使用される場合は、ご相談ください。
ex)純水の高い薬品の搬送用に使用した場合、ホースには影響ありませんが、ホース成分が純水中に溶けだし、純水を汚染する恐れがあります。
2、ホース配管上の注意事項
- ホースは消耗品です。長時間の使用により徐々に劣化して行きますので、定期点検(「5、検査」の項参照)で異常が発見されたら使用を中止して、新品と交換してください。
- ホースの配管にあたっては、万一の場合に備えホースが破損しても、人体や周囲の設備(電気設備等)に影響が及ばないように配慮してください。
- ホースは内圧により、伸び縮みしますので、余裕を持たせて配管してください。
- 固定配管で使用される場合は、許容圧力の1/2以下で使用してください。許容圧力付近で使用されると、ホースの伸びが大きくなり、局部的に曲げ半径が小さくなって、破損する事があります。固定配管で使用される場合は、加圧時の伸びの少ないラインパワーをお選び下さい。
- ホースのよじれは、性能低下の原因になります。機器の揺動や回転により、ホースによじれがかかる場合はスィベルジョイント、ルーズフランジ、フクロナットタイプのジョイントを使用してください。
- ホースは小さな曲げ半径で使用されると、許容圧力が低下します。
(運転圧力)×(安全係数)がホース許容圧力付近になる場合は、許容曲げ半径より大きな曲げ半径で使用してください。 - 金具付近で、極端に曲げた上体で配管すると、早期に破損する事があります。エルボ等を入れるか、ホースの長さを充分とり、許容曲げ半径より大きな曲がりとなるようにしてください。
- ポンプ(配管)の入口側、出口側共に1~2mホースが直管状態を保つようにしてください。またポンプの揺れ、振動によりホースに引張荷重が加わるのを防止するため、ホースを固定するようにしてください。
- ホースの伸び、縮みや振動、繰り返し動作等で、他の物体にホースがこすりつけられるような場合は、サポートの取付け、保護ワイヤー、ガードスプリング等でホースを保護してください。
- ホースの水平吊下げ使用は避けて下さい。(天上水平吊下げ配管など)
ホースの自重、流体重量、圧力によるホースの伸び等によりタルミ、湾曲が発生し、破損の恐れがあります。 - ホースに外からの衝撃を加えないようにしてください。
- ホースを踏みつけたり、車で轢いたりしないでください。
- ホースを引っ張って機械を移動したり、ホースを取り付けたままの状態で、機械や車体等を移動したりしないでください。
- ホースを長尺(50m以上)配管される場合は、揚程差、圧力損失等により必要流量が確保できない場合がありますので特にご注意ください。
3、ホース保管上の注意事項
3-1.使用後のホースの保管
- ホース使用後は、内部の残留物を水洗いなどで除去してください。
- ホース内面の付着物を取り除くように水で洗浄し、ホース両端にキャップを施してください。
- 直射日光が当たらない場所で保管してください。
- 直射日光が当たらない、湿度の低い冷暗所に保管してください。
- チリ、ゴミがホース内に入らないように両端にキャップを施してください。
- ホースを大量に積み上げたり、ホースの上に重量物を置かないでください。
- ホースを極端に曲げた状態で保管せず、できるだけ直管状態で屋内の平坦な床面に保管してください。
- PVCホースとゴム製品が接触すると、PVCホースが変色する場合がありますので、ゴム製品との接触を避けて保管してください。
4、ホース運搬上の注意事項
- ホースは運搬時、地面やコンクリート等の上を引きずらないでください。
- 積み降ろし、積み込み作業中に放り投げたり、衝撃を加えないで下さい。
- クレーン等で吊上げる場合は、1点吊りは避けて下さい。吊りビームとナイロンスリング等を用い、多点吊りをしてください。
5、検査(事故防止、ホースを安全に使用していただく為)
5-1日常点検
使用前にホースの外観検査を実施してください。異常が発見された場合は、ホースを取換えるか、または異常部分の除去等の処置を行ってください。
5-2定期点検
3ヶ月ごとに綿密な外観検査、及び許容圧力以下での水圧検査を、次の要領で実施してください。
(イ)外観検査
次のような異常が認められた場合は、使用に適しませんので、新しいホースと交換してください。
- 金具付近の異常・・・局部的な伸び、膨れ、湾曲、漏れ
- 外傷の有無・・・外面の大きな傷、補強芯割れ、谷部のクラック
- ホースの異常・・・つぶれ、変形、折れ、内面の膨れ、剥離
- その他著しい劣化・・・硬化、膨潤、ヒビ割れ等
(ロ)水圧検査
新品ホースの加圧時の伸び(出荷検査成績書のデータ又は、初期加圧テストのデータ、製品の状態等)を判定基準とし、定期検査の値が初期値の1.5倍以上になれば、直ちに使用を中止し、新しいホースと交換してください。
なお、検査は必ず許容圧力以下で実施してください。
必要以上に高い圧力での検査は、ホースの寿命を縮める可能性があります。
6、接続金具、バンドに関する注意事項
- ①ダクトホース以外のニップル外径は、ホース内径とほぼ同じか、若干大きい物を使用してください。ニップル外径が、ホース内径より小さい場合には、水漏れ、金具抜けなどによる事故発生の恐れがあります。
②ダクトホースについては、ニップル外径をホース内径より小さな設定とする必要がありますので、ご注意下さい。 - 市販金具の中には、取付けできない金具もありますので事前にご相談下さい。
- バンドの種類、本数、締付け力により、ホースの耐圧性能は変化します。
ホースの使用条件により、バンドを選定してください。
- 使用済みのホースは、産業廃棄物として廃棄してください。
- ホースは一定形状を有する固形物なので、MSDSの対象外となります。(ただし、参考データを準備しておりますので、必要な場合はご連絡下さい)
ホースの物性用語の説明
許容圧力(常温)直管状態または許容曲げ半径より大きい曲げ状態で、設計上許容できる最大圧力を表します。従って、これ以上の圧力で使用することはできません。また、連続して使用できる最高使用圧力(常用圧力)ではありません。許容圧力は使用温度が高温の場合、低くなります。そして、呼び径、金具、バンドの組み合わせ、および、使用環境により変わります。
許容圧力は最高使用圧力ではありません。従って、次の式を参考に運転圧力(常用圧力)の設計をしてください。
(運転圧力)×(安全係数)≦(許容圧力)
許容減圧力(常温)
常温下において、ホースに加えることのできる最大の負圧力です。これを超える負圧力で使用することはできません。また、使用温度が高温の場合は許容減圧力も小さくなります。常温はJIS Z 8703によると20℃±15℃とされています。
許容曲げ半径
使用可能な最小の曲げ半径です。これより小さい曲げ半径で使用することはできません。
半径の表し方
ホースの曲げ半径は曲げの中心からホースの中心軸までの距離で表します。
【東拓鉱業株式会社:http://www.totaku.co.jp/index.html】