フッ素イオン計 F-10Z
フッ素イオン電極はフッ化ランタンを単結晶を感応膜とし、水溶液中の遊離フッ素イオン濃度を測定します。錯体化したフッ素化合物などの全フッ素濃度は測定できません。
半導体製造工場、ガラス工場、フッ素樹脂製造工場などのプロセス、工場排水、上水道等の水質管理の分野で使用されます。
特長
- 自動温度補償付固体膜フッ素イオン電極法
半導体温度素子が温度変化による誤差を自動補正 - 安定したフッ化ランタン結晶膜電極
- 高性能フッ素イオン電極 FE-1206
低濃度から高濃度まで測定可能なフッ素イオン電極。0.1~1999mg/Lまで直線特性で測定可能。塩素イオン電極と同様に校正時と測定時にはイオン強度調整剤(ISAB)を添加してpHとイオン強度を一定にして測定することが必要です。 - 測定レンジ自動切替え機能
測定レンジ、100~2000mg/Lでは最小表示、1mg/L、99.9mg/L以下では0.1mg/Lの最小表示に自動切替になります。 - mVモードで電極の起電力測定・良否判定が可能。
- IP67準拠の防塵/防水構造。(計器に検出器が適切に接続された状態で)
- 鉛フリーハンダ化を実現
測定操作
- 準備:2mg/Lと200mg/Lの標準液50mL各用意して、ISABを1mL追加
- 校正:電極を各標準液に入れて校正する。
- 測定:検水50mLにISAB1mLを添加して攪拌後、電極をセットする。
- 直読:約30秒~2分位で表示が安定します。デジタル表示は直読です。
仕様
品 名 | フッ素イオン計 |
型 式 | F-10Z |
測定対象 | 遊離フッ素イオン |
表 示 | 液晶デジタル4桁表示 |
測定範囲 | F:0~2000mg/L mV:-1000~+1000mV |
分解能 | F:0.1mg/L(0.1~99.9mg/Lの範囲) 1mg/L(100~2000mg/Lの範囲) mV:1mV |
再現性 | F:±2mg/L以内(99.9mg/L以下) ±5mg/L以内(100~2000mg/Lの範囲) |
温度補償 | 半導体温度素子による自動温度補償 |
メモリー機能 | メモリー機能(最大30件) |
校正方法 | フッ素標準液(2mg/L、200mg/L)による2点校正 |
周囲使用温度 | 0~45℃ |
電 源 | DC4.5V(単4 LR03×3ヶ) オートパワーオフ機能(電源ON→30分後) |
外形寸法 | 計器:70(W)×36(H)×170(D) |
重 量 | 計器:約290g(電池含む) |
材 質 | 計器:ABS樹脂 |
標準付属品 | 計器本体(乾電池付)、F-電極、F-標準液(50mL)2mg/L、200mg/L各1、 ビーカー(50mL)、電極内部液、イオン活量強度調整剤(ISAB)50mL、 スポイト(2本)、ビニールカバー、ストラップ、取扱説明書、保証書 |
品 名 | フッ素イオン電極 |
型 式 | FE-1206 |
接液部材質 | フッ化ランタン、PVC、セラミック |
ケーブル長 | 1m |
外形寸法 | 電極:φ12×183 |
選択性 | Cl-,Br-,I-,SO2-,HCO-・・・・・・・・・・・・・・10×4 NO-,CH3COO-,Mg+,HPO2-・・・・・・・・・10×3 Ca2+・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10×2 Fe3+・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1 Al3+,OH-・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10×(-1) |
※フッ素イオン電極、標準液、電極内部液は消耗品です。
フッ素イオンとは
例えばフッ化カルシウム、フッ化ナトリウムが水に溶解すると加水分解によりフッ化イオンが水中に遊離して存在します。温泉地帯の地下水や河川水には多く含まれることがあります。また、半導体工場等でのフッ酸処理水にも多くのフッ素イオンが含まれて河川に放流される場合があります。フッ素イオンは水質汚濁防止法で工場で濃度の適切な処理と測定が必要とされています。
フッ素イオンの測定方法
イオンクロマト法、吸光光度法、イオン電極法がありますが、イオン電極法は操作が簡単で迅速な測定が可能になります。
イオン電極法とは
水中のフッ素イオンに選択的に応答するフッ化ランタン固体膜を使用したフッ素イオン電極は0.1~10000mg/Lくらいまでのフッ素イオン濃度に比例して対数直線的に濃度出力信号が出力されます。この電極信号を演算増幅⇒デジタル表示してフッ化物濃度を測定する事ができます。測定時はイオン活量強度や流速の影響をなくすために、マスキング剤(ISAB)を検水に約2%容量を加えて校正と測定をすることが望まれます。但し、本イオン電極法は水中の遊離状態のフッ素イオン濃度が対象です。結合した状態の全フッ化物濃度はそのままでは測定出来ませんので別途に蒸留操作が必要になります。フッ化イオン電極法はJIS法等に採用された測定方法です。
フッ化イオンの電極寿命は
使用条件や保管状態により電極の性能劣化の程度は異なりますのが、寿命の目安として1~3年くらい。イオン電極は基本的に消耗品です。電極の保守として、常に汚れを拭き取り、セラミック液絡部は湿った状態にして乾燥させないでください。もし乾燥した場合は、ぬるま湯に24時間程度電極を浸して充分に電気的に誘導するようにしてから測定が必要です。
妨害イオン特性(フッ素イオンに対する濃度比率=選択係数)
Al3+、OH-・・・・・・・・・・・・・・・1/10
Fe・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1
Ca・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・100
I-、Br-、Cl3-、NO3-・・・・・・・・・1000
フッ素イオン電極、妨害イオン対策
アルミニウム、鉄(Ⅲ)、ケイ素、カルシウム、マグネシウム、OH-等のイオンが溶液に共存すると、錯体を形成し、フッ化イオンが妨害されてしまう。特に、鉄、アルミニウム、水酸化物イオン(OH-)が問題とされています。そこで、これらの妨害イオンを除去する手段として、マスキング剤(TISAB=Total Ionic Strength AdjustmentBuffer)を検水に連続的に添加する方法を検討しなければなりません。
ダブルジャンクション型、内部液無補充タイプ、フッ素イオン電極