CL-10Z
塩素イオンと塩化物イオンは同じです。
この計器で残留塩素の測定はできません。
また、めっき液の塩素イオンの測定はできませんので、ご注意ください。
特長
- 自動温度補正式高性能塩素イオン電極
温度測定素子が温度変化による誤差を自動補正します。低濃度から高濃度まで測定可能な塩素イオン電極0.1~2000mg/Lまで直線特性で測定可能 - 測定レンジ自動切換え機能
測定レンジ100~2000mg/Lでは1mg/L、99.9mg/L以下では0.1mg/Lの分解能に自動切替になります。 - バックライト機能
- メモリ機能付き(最大30件)
- 防水構造(IP67相当)
- 鉛フリー実装回路基板
- 汚れ防止ビニールカバー標準付属
- mVモード
mVモードで電極の起電力測定・良否判定が可能
概要
塩素イオン電極は固体塩化銀を感応膜とし、水溶液中の遊離の塩素イオン濃度を測定します。殺菌の指標である残留塩素は測定対象外です。用途は化学工場、食品工場、ボイラー水、河川、上下水道、浄化槽放流水等の水質管理の分野で使用されます。
仕様
品 名 | 塩素イオン計 |
型 式 | CL-10Z |
測定対象 | 水中の塩化物イオン |
表 示 | 液晶デジタル4桁表示 |
測定範囲 | Cl:0~2000mg/L mV:-1000~1000mV |
分解能 | Cl:0.1mg/L(0~99.9mg/L) 1mg/L(100~1999mg/L) mV:1mV |
繰り返し性 | Cl:±2mg/L以内(0~99.9mg/L) ±5mg/L以内(100~1999mg/L) mV:±2mV以内 |
温度補償 | マイコンによる自動温度補償 |
メモリー機能 | 最大30件 |
周囲使用温度 | 0~45℃ |
校正方法 | 10mg/L 1000mg/L塩素イオン標準液による2点校正 |
外形寸法 | 本体:70(W)×36(H)×170(D)mm 電極:φ16×183 |
重 量 | 本体:約300g,電極:約100g(ケーブル1m含む) |
標準構成 | 計器本体(乾電池付)、塩素イオン電極(CL-2206)、 塩素イオン標準液(50mL)10mg/L、1000mg/L 各1本、 電極内部液(50mL)、スポイト2本、取扱説明書、保証書、 イオン活量強度調整剤(50mL)、ストラップ、ビニールカバー |
標準外付属品 | 塩素イオン標準液 10mg/L(250mL) 塩素イオン標準液 1000mg/L(250mL) 電極内部液(50mL) イオン活量強度調整剤(ISAB)(250mL) |
※塩素イオン電極、標準液、電極内部液は消耗品です。
Q&A
- 塩素イオン電極で、残留塩素が測定できる?
塩素イオンは、水に溶けている塩素分です。すなわち、水中に溶解している塩化物中の塩素イオンのことです。例えば、食塩は塩化ナトリウムNaClですが、これが水に溶解すると、Na+とCl-に分かれます。Cl-は水中では塩素イオンになります。塩素イオンは塩分濃度の指標として食品、化学、養殖、浄化槽、河川等あらゆる分野で測定される重要な水質項目です。残留塩素は、水中に残留する全ての有効塩素(消毒効果(酸化力)のある塩素)で、遊離残留塩素や、結合残留塩素と呼ばれるものです。上述したとおり、塩素イオンと残留塩素は別のものです。従って、塩素イオン濃度が高いからといっても殺菌用の塩素が充分である訳ではありません。また、塩素イオン計で残留塩素の測定はできません。
- 浄化槽放流水の塩素イオン測定の必要性
浄化槽に流入する生し尿の塩素イオンは約5500mg/Lとされています。塩素イオンは生物処理では分解しないので放流水の塩素イオン濃度を測定すると何倍の水道水で希釈されたかの判定ができます。例えば、浄化槽放流水の塩素イオン濃度が110mg/L、水道水の塩素イオンが20mg/Lとすると、 (5500-20)÷(110-20)=60.888 よって約61倍の水で希釈されていることになります。これは浄化槽管理の重要な水質測定項目になっています。
塩化物イオンをなぜ測定するのか
塩素イオンとは水中に存在する塩化物を言う。塩化物は主として生活排水中に含まれ、特にし尿には塩化物が多量にあるので、し尿を多量に含む下水は塩化物イオン濃度が高い。塩化物イオンの濃度は汚染の一つの指標となります。人間のし尿には約5500mg/Lの塩素イオンが含まれています。浄化槽の放流水の塩素イオンを測定することによって希釈倍率を求める事ができます。
塩素イオンの測定方法
硝酸銀滴定法(モール法):高価な硝酸銀溶液と有害なクロム酸を使用する。滴定に時間がかかり、また硫化物の影響があります。
塩素イオン電極法(CL-10Z):塩素イオンに感応する塩化銀の固体結晶膜を使用した塩素イオン電極による測定方法は測定が簡単で迅速に正確な測定値が得られます。測定時はイオン活量強度や流速の影響を除去するためにマスキング剤(ISAB)を検水に2%容量添加して校正と測定をします。塩素イオン電極法はJIS法に採用されています。
塩素イオンの測定用途
浄化槽放流水:放流水の塩素イオンを測定することでし尿の希釈倍率を求める事ができます。
生コン塩分測定:生コンに海砂などを使用するとコンクリートの劣化が進行し、建造物の劣化の原因になるので適切な塩分測定と管理が必要。
食品、化学分野:製品の開発実験、品質管理のための塩分測定など。
塩素イオン電極の寿命は
使用条件によっても電極の劣化の程度は異なりますが、適切な保守管理をする条件で寿命の目安は1~3年くらい。イオン電極は基本的に消耗品です。電極の保守として銀電極の表面の酸化被膜や汚れはサンドペーパーで定期的に研磨、清掃する事とセラミック液絡部を常に湿った状態に保管する事が望まれます。
塩素イオン電極で残留塩素が測定出来るか
塩素イオンは水に溶解した塩化物であり、残留塩素は次亜塩素酸ナトリウムに代表される酸化性の殺菌剤のことであり塩素イオン電極では測定出来ません。